宗教環境都市 高野山
高野山は和歌山県の北部に位置し、東西約6キロ、南北約2キロからなり、その周囲は、摩尼山、楊柳山、転軸山、弁天岳など、約1,000メートルの峰々に囲まれた海抜約850メートルの山上の盆地です。大阪の難波駅から南海電車で約1時間40分。夏は涼しく、年間平均気温は約10度です。
この高野山は弘法大師空海(774-835)が弘仁7年(816)に修行のための根本道場として開創なさって以来、約1200年の歴史を持つ真言密教の修行道場であり、弘法大師が入定して今もなお人々に救いの手を差し伸べておられるという信仰が生きている霊場です。四国八十八ヵ所霊場や西国三十三ヵ所観音霊場を巡る人々は必ずこの高野山の弘法大師霊廟に参拝しますが、彼ら以外にも、宗教宗派の区別なく超宗派的な聖地ですので、年間100万人以上もの色々な人々(僧侶や一般の人々)がこの山を訪れています。歴史的な幸運と文化財を後世に伝えようとする先徳の努力のおかげで、日本全体の文化財の約8%が現存する山でもあります。
平成16年(2004)6月、高野山は吉野、熊野とともに「紀伊山地の霊場と参詣道」というテーマでユネスコの世界文化遺産に登録されました。高野山については(1)霊場:高野山の入り口の大門(重要文化財:高さ25.8メートル)、壇上伽藍、金剛峯寺、徳川霊台、金剛三昧院境内(1223年創建。この境内には国宝の多宝塔や校倉造の経蔵が立っている)、奥之院と奥之院に至る約2キロの墓石群の領域などを中核として、その周囲の奥之院地域の森林や山内の町並みからなる霊場、(2)参詣道:九度山の慈尊院から高野山に至る約20キロの町石道と、高野山から熊野へ至る小辺路の二つの参詣道、この(1)(2)をもって世界中でここ以外には無い世界の文化の至宝として登録されたのです。
この山上には学校(保育園、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、大学院)、病院、歯科医院、警察署、郵便局、銀行、コンビニエンスストアなど、生活上の必要な近代的施設が揃っていて、この世界文化遺産の領域の中に約3,000人の人々が住んで生活を営みながら、古い1200年の伝統が保持されているのは世界に類がない点であります。
現在、高野山には117ヵ寺の塔頭寺院があり、その内52ヵ寺が宿泊施設を備えた宿坊を営んでいます。都会の喧騒から離れて山内の壇上伽藍の境内や奥之院の参道を散策して、宿坊に泊まり、精進料理の食事を召し上がって、本堂で行われる早朝の「おつとめ(勤行)」に参加すれば、荘重なるお経(『理趣経』)と声明(梵唄)を聞くことができ、日常の煩労を忘れ心が洗われる体験をすることができます。ちなみに、この声明(梵唄)は日本の平曲、謡曲、浄瑠璃、念仏踊り、民謡などに影響を与えた日本の古典音楽の1つでもあります。
主な高野山年中行事
1月 | 1日、2日、3日 | 奥之院修正会 | 午前9時開始 | 於 奥之院 |
1日、2日、3日 | 金堂修正会 | 午前9時開始 | 於 金堂 | |
5日 | 大塔修正会 | 午前9時開始 | 於 大塔 | |
2月 | 14日~15日 | 金剛峯寺常楽会 | 午後11時開始 | 於 金剛峯寺 |
23日~3月15日の いずれかの日 |
法印転衣式 | 午前11時開始 | 於 金剛峯寺 | |
3月 | 彼岸中日前後三日間 | 春季金堂彼岸会 | 午後1時開始 | 於 金堂 |
旧暦3月20日 | 伽藍萬燈萬華会及び御逮夜法会 | 午後8時開始 | 於 御影堂 | |
旧暦3月21日 | 奥之院旧正御影供 | 午前9時開始 | 於 奥之院 | |
旧暦3月21日 | 御影堂旧正御影供 | 午後1時開始 | 於 御影堂 | |
21日 | 奥之院正御影供 | 午前9時開始 | 於 奥之院 | |
4月 | 8日 | 金剛峯寺佛生会 | 午前9時開始 | 於 金剛峯寺 |
10日 | 金堂大曼荼羅供 | 午前9時開始 | 於 金堂 | |
21日 | 奥之院萬燈会 | 午前9時開始 | 於 奥之院 | |
5月 | 3日、4日、5日 | 金堂胎蔵界結縁灌頂 | 午前9時開始 | 於 金堂 |
21日 | 奥之院施餓鬼会 | 午前9時 | 於 奥之院 | |
6月 | 15日 | 宗祖降誕会 | 午前9時開始 | 於 大師教会 |
8月 | 7日より一週間 | 金堂不断経 | 午前9時開始 | 於 金堂 |
13日 | 奥之院萬燈供養会 (ろうそく祭り) |
午後7時開始 | 於 奥之院 | |
9月 | 彼岸中日前後三日間 | 秋季金堂彼岸会 | 午後1時 | 於 金堂 |
10月 | 1日、2日、3日 | 金堂金剛界結縁灌頂 | 午前9時開始 | 於 金堂 |
1日、2日、3日 | 奥之院萬燈会 | 午後7時開始 | 於 奥之院 | |
16日 | 明神社秋季大祭 | 午後0時半開始 | 於 明神社 |